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九州大学所蔵の博物館資料の保全と継承に関する要望書

九州大学総合研究博物館の移転にかかわる標本資料の保存と継承について,平成29年8月24日付けの要望書を九州大学総長宛に郵送しました.

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九州大学所蔵の博物館資料の保全と継承に関する要望書

平成 29 年 8 月 24 日

国立大学法人 九州大学総長
久保 千春 殿

九州大学所蔵の博物館資料の保全と継承に関する要望書

自然史学会連合は、自然史の研究教育に関わる 40 学協会が加盟する連合体です。自然史は、地球創世以来の地球と生物の成り立ちと進化を探求し、活発に変動する環境と生物の多様性やそれらの相互関係を理解する分野です。地球と生物の現状への理解を通じて、将来の予測へと繋ぐことも可能となってきます。自然史研究の原点は、自然の証である標本資料にあります。そして、標本資料を収集し、整理保管し、調査研究に活用すること、さらに未来に継承することは、自然史科学の発展に欠かすことができません。

九州大学は、自然史科学において数多くの優れた研究成果をあげるとともに、その研究の基盤となった標本の収集と保管に努めてこられました。自然史科学分野においては、 標本資料は一次資料として位置づけられ、画像データや各種の計測データおよび論文資料などの二次資料に比べてその重要性はとても高いものです。現今では標本資料から抽出した DNA の解析によって、過去の様子をあきらかにする試みも行われるようになってきており、技術の進展とともに標本資料のあらたな利活用が可能となりつつあります。 このように、標本資料は過去の遺産としての意味だけでなく新たな研究材料としての価値も有しています。標本資料を後世に伝えることは、これからの自然史科学の発展にも大きく寄与することは疑いようがありません。

<要望内容>

このたびの貴学の伊都キャンパスへの移転に際して、総合研究博物館に収蔵されてい る標本資料の充分な保管場所が移転先に確保できないということを館員からお伺いし ました。予算削減などの厳しい社会情勢のことは十分に存じ上げていますが、貴学が 1 世紀以上をかけて収集されたかけがえのない標本資料について、その保存と後世への継 承を博物館組織にとどまることなく全学をあげての事業として取り組んで頂くことを 強く希望致します。

自然史学会連合代表 北里 洋

自然史学会連合*加盟学協会(40 学協会)

種生物学会,植生学会,植物地理・分類学会,地衣類研究会,地学団体研究会,東京地学協会,日本遺伝学会,日本衛生動物学会,日本貝類学会,日本花粉学会,日本魚類学会,日本菌学会,日本蜘蛛学会,日本古生物学会,日本昆虫学会,日本昆虫分類学会, 日本サンゴ礁学会,日本植生史学会,日本植物学会,日本植物分類学会,日本進化学会, 日本人類学会,日本生態学会,日本生物地理学会,日本蘚苔類学会,日本藻類学会,日本第四紀学会,日本地衣学会,日本地質学会,日本 DNA 多型学会,日本鳥学会,日本地理学会,日本動物学会,日本動物行動学会,日本動物分類学会,日本プランクトン学会,日本ベントス学会,日本哺乳類学会,日本鱗翅学会,日本霊長類学会

*自然史学会連合 HP:http://ujsnh.org/