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京都大学霊長類研究所に関する要望書



京都大学霊長類研究所の共同利用・
共同研究拠点の認定に関する要望書提出


平成20年12月24日

京都大学霊長類研究所所長 松沢哲郎 殿

自然史学会連合 代表 西田 治文


「共同利用・共同研究拠点」への移行に関わる要望書

 私ども自然史学会連合は,自然史科学の研究・教育の振興と,自然史体験を通じた 人間形成への寄与を目的として,関連学協会により1995年に設立された組織です。 2008年12月現在,37の学協会(下欄)が加盟しています。日本が標榜する科学技術 立国を支える将来の人材にとって,旺盛な好奇心とバランスのとれた人間性は無視 できない要素で,自然史科学はそのような素養の育成に大きく貢献してきたという のも,私どもの強い主張であります。近年の活動としましては,連合主催の普及講演 会の開催(添付資料),第三次生物多様性国家戦略に関する意見書の提出,大阪府 の文化施設見直し方針に関する要望書提出などを行ってきました。
 このたび、全国の国立大学附置研究所のあり方が見直され、従来の「全国共同 利用研究所」が廃されて、新たに「共同利用・共同研究拠点」という制度が開始される と聞き及びました。
 日本の霊長類学は世界でも最も古い60年の歴史を誇り、1957年に世界で最初の 霊長類学の国際誌を出し、いち早く霊長類の生息地全般にわたって調査を実施する など、これまで世界の霊長類学をリードしてきました。日本は来る2010年に国際霊長 類学会の開催国となっており、日本の霊長類学はますます重要な役割を果たしつつ あると考えております。また,ヒトあるいは人類の起源や文化的発展に対する一般 社会の興味は常に高く,霊長類学はそれらに対する答えを提供し続けています。
 貴研究所は1967年の設立以来、国内はもとより国際的な霊長類学の中核拠点と して数多くの共同研究を推進してこられました。人間を含めた霊長類の基礎研究は 世界の中心的な研究課題であり、これを総合的に実施でき,社会的要請にも応え 得る研究拠点は貴研究所を含め世界にわずかしかありません。わたくしどもは、 これまでに貴研究所が果たしてきた重要な役割を高く評価しており、今後ますます 貴研究所に対する世界の期待は高まっていくと考えております。ぜひこの機会に 貴研究所が「共同利用・共同研究拠点」として規模を拡大し、国内外の研究者との 共同利用・共同研究を推進していただくことを、切にお願い申し上げる次第です。 このことは,本連合が意図する学問的・社会的貢献にも叶うことであると申し添えます。

*自然史学会連合加盟学協会
種生物学会,植生学会,地衣類研究会,地学団体研究会,東京地学協会,日本 遺伝学会,日本衛生動物学会,日本貝類学会,日本花粉学会,日本魚類学会, 日本菌学会,日本蜘蛛学会,日本古生物学会,日本昆虫学会,日本昆虫分類学会, 日本植物分類学会,日本植物学会,日本進化学会,日本人類学会,日本生態学会, 日本生物地理学会,日本蘚苔類学会,日本藻類学会,日本第四紀学会,日本地衣 学会,日本地質学会,日本鳥学会,日本地理学会,日本動物学会,日本動物行動学 会,日本動物分類学会,日本プランクトン学会,日本ベントス学会,日本哺乳類学会, 日本陸水学会,日本鱗翅学会,日本霊長類学会(あいうえお順)

事務局: 原田 浩(千葉県立中央博物館),e-mail: harada@chiba-muse.or.jp
ホームページ: http://wwwsoc.nii.ac.jp/ujsnh/
参考資料: 2008年度自然史学会連合講演会要旨集