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「生物II」の進化・生態を入試の出題範囲とするお願い



「生物II」の選択性である進化・生態の両分野を 入試の出題範囲とするお願い

自然史学会連合代表 森脇 和郎 (理研筑波研究所バイオリソースセンター・所長)


平成15年12月5日

要望書:「生物II」の選択性である進化・生態の両分野を入試の出題範囲とするお願い

○○○○○大学長 殿

 拝啓
 貴学におかれましては、平素より当連合へのご理解とご協力を賜り、御礼申し上げます。  さて、現在各大学におかれましては、平成15年度施行の新・学習指導要領に基づく最初の 入試である、平成18年度入学試験の出題範囲につき議論がなされていることと思います。 これに関連しまして、「生物II」の出題範囲について、すでに平成15年10月30日付で、日本生態学会、 日本進化学会から、標記と同様のお願いがなされたことと存じます。自然史関連 37学協会を擁します 自然史学会連合といたしましても、このことを重要な問題ととらえ、改め て以下のようにお願いをする 次第です。

 要望事項
 平成18年度以降の「生物II」入試問題作成にあたり、平成15年度新・学習指導要領にある 「生物の 分類と進化」(進化分野)及び、「生物の集団」(生態分野)の双方について、 出題範囲に含める方向で ご検討いただきたい。

理由
 今後の地球を担う次世代は、地球環境問題を正しく認識しつつ、人類の持続可能な発展を可能 にする、 健全な基礎知識と環境倫理とを持たなければならない。このことは、いかなる大学教育 に際しても前提 となるべきことである。このような知識と倫理とを育成するためには、生物が 長い時間をかけて互いに 関連しあいながら構築してきた現在の多様性の奥深さと歴史的重みを 充分に理解する必要がある。 しかし、専門化の進む大学ではこのような基礎教育を広範に行う 機会は失われがちである。進化分野と 生態分野はこの目的において、基礎となる分野であり、 互いに不可分のものである。入試科目として これらの分野が共に取り上げられることは、高等 学校における両分野の指導機会の増加と高校生の学習 動機づけに結びつき易い。反面、出題が どちらかに限定されれば、大学入学生の基本的知識体系に重大な 知識不足と不均衡をもたらす。 両分野を出題する事での受験生への負担増加は膨大とはいえず、逆に 両分野を学習すること での個人的、社会的利益は大きい。
 以上をご勘案下さり、何卒、「進化・生態の両分野を出題範囲に含める」方向でご検討下さい ますよう、 お願い申し上げます。

付記

 自然史学会連合は自然史科学全般に関わる研究・教育を振興し、現代社会に必要な正しい 自然観を普及 することを目的とした自然史系学協会の連合組織です。平成15年2月24日現在、 以下の34学協会が加盟 しています。

種生物学会、植物地理分類学会、地衣類研究会、地学団体研究会、東京地学協会、 日本遺伝学会、 日本衛生動物学会、日本貝類学会、日本花粉学会、日本魚類学会、日本菌学会、 日本蜘蛛学会、 日本古生物学会、日本昆虫学会、日本昆虫分類学会、(社)日本植物学会、 日本植物分類学会、 日本人類学会、日本生態学会、日本生物地理学会、日本蘚苔類学会、 日本藻類学会、日本第四紀学会、 日本地質学会、日本鳥学会、日本地理学会、(社)日本動物学会、 日本動物行動学会、日本動物分類学会、日本プランクトン学会、日本ベントス学会、 日本哺乳類学会、日本鱗翅学会、日本霊長類学会(順不同)