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京都大学生態学研究センターに関する要望書



京都大学生態学研究センターの共同利用・
 共同研究拠点の認定に関する要望書提出


平成20年12月24日

要 望 書

文部科学大臣 塩谷 立 様

自然史学会連合 代表 西田 治文


 私ども自然史学会連合は,野外における基礎的な自然史科学の研究・教育の振興を図ることを 目的として,関連する学協会によって1995年に設立された組織です。2008年11月現在,37の学協会 *が加盟しています。近年の活動としましては,連合主催の普及講演会の開催,昨秋の生物多様性 国家戦略に関するパブリックコメントへの意見書の提出,大阪府の文化施設見直し方針に関する 要望書提出などを行ってきました。

 現在,様々な地球環境の変化が全人類的な課題として注目されています。なかでも,気候変動や 生物多様性喪失についての認知度と危機感は急速に高まり,関連する学問分野の研究の進展と 解決策の提示には強い社会的要請があると考えています。こうした学問領域は自然史科学の重要な 分野であることから,私ども自然史学会連合も積極的にその支援活動を進めています。

 生物による酸素の生成や化石燃料をはじめとした各種の生物資源が人類にもたらす各種生態系 サービスの恩恵は計り知れません。それゆえ,そのサービスの基盤となる地球環境の保全において は,地球上の生物多様性と生態系に関する基礎研究が不可欠です。このようななかで平成3年に 全国共同利用施設として設置された京都大学生態学研究センター(以下,「センター」と略称)は, わが国における上記分野の研究を代表する全国共同利用施設として,とくに生態学の発展に大きく 貢献してきました。センターは,熱帯林生態系,冷温帯林生態系,湖沼生態系において,生物間相互 ネットワークの解明を通した生物多様性維持機構についての基礎的かつ先駆的な研究を牽引して きました。さらに,外部研究者にたいしての調査研究の場の提供や研究会・セミナー開催場所の提供 などを通じた共同利用と社会貢献についても積極的に取り組み,生態学および生物多様性研究の 環境整備にも多大な役割を果たしてきました。生態学や生物多様性研究のみならず自然史科学 全般の研究水準の維持と発展も,このようなセンターの共同利用の恩恵を受けて支えられています。 地球環境問題の深刻化とともに,センターが担う研究分野の重要性は社会的にも今後ますます 大きくなると考えられます。

 以上のようなことから,京都大学生態学研究センターが,引き続いてわが国における生態学分野 の研究を牽引する研究施設としての役割を果たすとともに,今後も外部研究者に開かれた事業活動 によって生態学分野や関連した学際分野の研究者活動を支える機能の維持とその発展を,私ども 自然史学会連合は望んでおります。そのためにも,京都大学生態学研究センターの共同利用・共同 研究拠点の認定に当たっては格別の配慮をいただくよう要望いたします。

*37の加盟学協会:種生物学会,植生学会,地衣類研究会,地学団体研究会,東京地学協会,日本 遺伝学会,日本衛生動物学会,日本貝類学会,日本花粉学会,日本魚類学会,日本菌学会,日本 蜘蛛学会,日本古生物学会,日本昆虫学会,日本昆虫分類学会,日本植物分類学会,日本植物 学会,日本進化学会,日本人類学会,日本生態学会,日本生物地理学会,日本蘚苔類学会,日本 藻類学会,日本第四紀学会,日本地衣学会,日本地質学会,日本鳥学会,日本地理学会, 日本動物学会,日本動物行動学会,日本動物分類学会,日本プランクトン学会,日本ベントス学会 ,日本哺乳類学会,日本陸水学会,日本鱗翅学会,日本霊長類学会(あいうえお順)
事務局: 原田 浩(千葉県立中央博物館),e-mail: harada@chiba-muse.or.jp
ホームページ: http://wwwsoc.nii.ac.jp/ujsnh/