国立美術館と国立文化財機構の統合に関する声明
国立美術館と国立文化財機構の統合に関する声明
日本学術会議協力学術研究団体 自然史学会連合
代表 北里 洋
現在、政府の行政改革推進会議において、国立美術館と国立文化財機構(国立博物館等)の二つの独立行政法人を統合する案が検討されていることを、新聞記事等で知りました。美術館と博物館を統合することによって事務経費削減などが期待できるとしているようですが、自由な発想から創造と発展を育もうとする美術館と、歴史と伝統を守り、そこから日本人としてのアイデンティティを育もうとする博物館の使命は、方向性が異なるものです。部分的に似ているからという安易な統合によって、真の効率化や合理化が達成出来るものではありません。むしろ統合した組織では、両者の違いを調整するために余計なコストがかかり、我が国に必要な発想の多様性が犠牲となって、個々の博物館・美術館を一層魅力的にするという本来の目的達成に、大きな支障が出ることが懸念されます。
今回の統合案には、国立科学博物館のような自然科学系の独立行政法人は含まれていないようですが、こうした案件が認められるのであれば、将来、地方自治体の自然科学系博物館の独立性を脅かすような悪影響を与えることも懸念されます。
自然史学会連合は、美術館と博物館それぞれの本来あるべき目的や意義を無視した合理化は、現在、そして未来の国民の文化的なくらしと生き方に悪影響をあたえるものと考え、強く反対します。
2013年11月19日
自然史学会連合
- 声明文ダウンロード:
- 国立美術館と国立文化財機構の統合に関する声明
- 添付資料:
- 第61回全国博物館大会決議 (2013年11月8日)
- 文化芸術立国の要となる国立美術館、国立文化財機構の機能強化のための行政改革の推進に関する決議 (2013年11月11日 自由民主党政務調査会 文化伝統調査会)
以上