アサガオ画像データベース

森米田芳秋(静岡大学)・仁田坂英二(九州大学)・月井雄二(法政大学)


はじめに

 アサガオ(Ipomoea nil または Pharbitis nil)は日本独自の園芸植物で,江戸時代に生じた遺伝子突然変異体を材料 にして江戸の栽培家達が園芸的に価値の高いすばらしい変化アサガオを育成しました。また大正時代以降,江戸の変化 アサガオを基にして日本の遺伝学者が遺伝子分析を精力的に行っています。一方でアサガオは典型的な短日植物で,日 長に鋭敏な反応を示す利点をもっていたので,1950年代以降には花芽分化の研究材料として植物生理学の分野で国内 国外を問わず使われるようになりました。

 日本のアサガオはすでに Japanese morning glory として世界にも知られていますが,ここに電子画像データベース 「アサガオ画像データベース」として国内外に広く紹介できることは,今後の国際的な文化交流の一環としても極めて 有意義なことと思っています。今回の画像データベースは総合研究大学院大学の共同研究「生物形態資料画像データ ベースの構築」プロジェクトの一環として,米田芳秋により1998年に提示された「アサガオ類画像データベース」に, 九州大学理学部の仁田坂英二の「アサガオホームページ」を統合して作成したものです。また、編集につきましては法政 大学の月井雄二先生に援助していただきました。

 アサガオは古くから日本人に広く親しまれ,また明治以降の小学校の理科教材としての古い歴史もありますので,ここ では入門的な内容として「米田芳秋監修,竹村嘉夫写真の講談社パノラマ図鑑 アサガオ」をディジタル化して入れてあ ります。CD-ROM化したことで、小学校や一般家庭でもインターネット接続することなく、豊富な内容を瞬時に閲覧できる ようになりました。一方で最新の研究領域である分子生物学の分野から連鎖地図の作成,分子系統樹,トランスポゾンと 花模様との関係などを扱った項目を設定してあります。入門者から研究者まで参考資料として多くの方に広く利用されること を願っています。


内 容

1.アサガオ入門(米田芳秋監修,竹村嘉夫写真 講談社 パノラマ図鑑 アサガオ) / 2.アサガオの栽培方法  / 3.古文献のアサガオ(古図譜のアサガオ/古い文献にみるアサガオの突然変異体) /  4.アサガオの系統(アサガオの原種系/野生型・近縁種/変化朝顔/明治期の変化アサガオ日本の古典遺伝学の はじまりと発展/変化アサガオから大輪アサガオへ子葉,本葉,花の形/大輪アサガオ/系統リスト) /  5.アサガオの遺伝(染色体/ 連鎖地図/ 遺伝子リスト) / 6.分子系統樹 / 7.花色,花模様 /  8.トランスポゾン / 9.アサガオの近縁種と種間雑種 / 10.遺伝関係文献 / 11.アサガオの組織培養, 不定胚形成,個体再生 / 12.アサガオの花芽分化,開花,花のしおれ,他 / 13.アサガオの種子,形態, 他 / 14.ヒルガオ属植物とその種間雑種 / 15.イポメア属の植物・分類,アサガオ近縁種 /  16.ヒルガオ科の植物・分類 / 17.今後の課題 / 18.関連webサイト


本データベースの利用と著作権について

 本データベースはインターネットまたはCD-ROMにより利用することが出来ます。 利用に際しては、学術研究または教育普及を目的とした利用の場合は無償としますが、商業目的 の場合は、別途、事前に著作権者の許可を得ることが必要です。本データベースの著作権は、 下記の事例1)を除き、米田芳秋と仁田坂英二に属します。
 1)アサガオ入門の講談社パノラマ図鑑 「アサガオ」の部分は、株式会社講談社と米田芳秋、竹村嘉夫が著作権を持ちます。