10月14日シンポジウム

参加者からの声

●総会とシンポジウムでお世話になりました。総会では事務局は本当に皆さ んに助けられました。 ありがとうございました。 さて、総会の日の午後より今年のシンポジウムが開かれました。5つの演題を 中心 に、自然史に関する画像データベースの議論が沸きあがりました。参加者は90名で、 この時期を考えると、たいへんな意義深いシンポジウムになったことと信じます。こ れからも議論を 続けてまいりたいと思います。引き続きご意見やご感想を事務局まで お寄せください。公開促進費を 支援くださいました日本哺乳類学会の方々に心からお 礼申し上げます。(連合事務局より)


●会場の準備では科博の方々に大変お世話になりました。また,講演要旨集は哺乳類学会の山 田 さんが科研費をとってくれたおかげで大変立派な冊子ができました。少し余分に印刷し ましたので,データベースに関心のある人に配布する予定です。シンポジウムの内容につい て,私としては今持てる力の総てを投入して準備しました。特に,分類学は生物研究の根幹 をなす重要な学問であることおよび分類学の土台になっている模式標本の重要性を十分認識 したうえで,模式標本に裏付けられた画像データベースを構築することを提唱したつもりで す。しかし,総合討論の雰囲気から,分類研究者の多くが生物分類学における画像データベ ースに懐疑的で根強い反感をもっていることを知り,正直言って少しがっかりしました。幸 い一部の分類研究者は,画像データベースの重要性を認識して積極的に取り組んでいますの で,今後はそれらの進歩的な人々を激励してさらに充実したデータベース群を構築するこ とによりシンポジウムの意図を目に見える形で実現してゆきたいと思っています。
なお,データベースについてこれだけまとまった議論がなされることはめったに無いと思わ れますので,自然史学会連合のホームページに掲載しました講演要旨は,シンポジウム終了 後もどこかに保存して見えるようにしてもらうことにしました。分類学に不案内な者が分類 のデータベースを推進しているため,何かと不行き届きがありますが,画像データベース は,単なる教育啓蒙の手段を超えて,21世紀に分類学を蘇らせる起爆剤として重要であると 今も信じています。今後もし博物館活動の一環として画像データベースが取り上げられるよ うでしたら,できる限りのお手伝いをさせていただきたいと思っています。今後ともよろし くお願いします。(主催者)


●今回のシンポジウムは大いに意義がありましたし,成功だったと思います.シンポジウムの 組織にご尽力下さり,ありがとうございました.博物館の標本をコンピュータに登録し,デ ータベース化する作業を1987年から始めました.いろいろと試行作業をしながらデータ検索 のため,また,合理的な標本管理のためにどのような構造のデータベースを作ればよいかを 検討してきました.標本データベースも画像データベースも分類学にとって必須のものだと 考えています.また,博物館の研究者や標本管理者にとってもデータベース は欠かすこと のできないものであり,さらに言えば自分たちの存在意義を社会に示す格好の手段になると 思います.
 分類研究者の中にデータベースに保守的な人がいるという発言がシンポジウムで紹介され ましたが,そのような分類研究者は気にしてもしかたがないと思います.前を見ている分類 研究者はデータベースに積極的です.もちろん人手の問題があり,やりたくても十分に作業 ができないという人も大勢いますが,魚類関係者の中ではもはやデータベースなしには分類 学はできないという認識が一般的だと思います.・・・データ検索の方法は我々にとって大 きな課題であることは十分認識していますので,今後はより分かりやすくて,親しみやすい データベースを目指そうと思っています. (参加者より)


●連合シンポジウム、ごくろうさまでした。画像データベースというテーマでしたので、私の 周りの一部分類研究者からは、情報科学に侵略される道をつくるだけだ、という話も聞かれ ましたが、その誤解を解くのに十分な内容であったと思います。地域博物館にいる学芸員、 その中でも生物分類学を専門にしている学芸員の多くは、このようなシンポジウムに共感す るだろうと思いました。なぜなら、学校教育の中に総合的学習が導入されて以降、どの博物 館でも"資料公開"ということを強く迫られており、実際にはその対応のため、分類学研究な どはできていないのが現状だからです。そのような方々にとって、ウェブ公開に伴う技術的 な問題、労力、著作権への配慮、アーカイブの必要性などが網羅されたこのシンポジウム は、大きな助けになると思います。残念ながら、どのくらいの学芸員の方が出席されていた のか不明ですが、少なくとも顔見知りの何人かには概ね好評でありました。たとえ出席され ていなくても、シンポジウムの要旨集があれば、後日の理解を助けてくれるでしょう。ホー ムページ内の要旨もこのままリンクしたいと思います。  最後に、画像データベースが、分類学あるいは既成の自然史学諸分野にとってのたんなる 補助的な手段なのか、あるいはまったく新しい学問分野の開拓に結びつくのか、展望を示す ことが今後に残された課題なのかもしれない、と感じました。(参加者より)


●連合シンポジウム、今回はまたいつもとは違った参加者層で議論が盛り上がり、良かったと 思います。私、失礼ながら途中で抜け出して内職しようとねらっていたのでしたが、面白く てとうとう抜け出す機会を逸してしまいました。データの公開は、元となる実物の重みを今 更ながらに強調するので、分類学者はこれを追い風と受け止めなければなりません。また、 各地の博物館がその実物保存の重大な責務を果たすべきであり、ネットワークの充実と標本 管理設備と人員を含めた充実が不可欠であることを喧伝する絶好の機会であると思います。 森総理のピンぼけITパフォーマンスもこの意味で頭から馬鹿にしないで利用するべく、連合 などが率先して意見を提出する必要があるでしょう。  一方で、岩淵さんのかえるデータベースのようにバーチャルとフィールドを結ぶことは、 今後小中レベルでの自然史教育にひとつの形をあたえることができる、面白い試みでした。 自分たちで観察したことが、情報として確認でき、また、目に見える結果として反映される という点で、子供にはたまらない刺激だろうとおもいます。少なくとも都市部の小学校には すべてにビオトープを作らせたいという勝手な願いと並んで、実現させたいもののひとつだ と思いました。また、このようなネットワークが地域博物館の活性化とも絡んでいるため、 現在の連合の複数あるアクションプランを横断的に進めることの必要性を強く再認識しまし た。 関係各位のご慰労をさしおき、感想まで。お疲れさまでした。(参加者より)


●シンポジウムの準備、また、講演、議論、大変お疲れさまでした。私も今井先生のお話を聞 いてから外の用に出かけようと思っておりましたが、大変面白く、最後まで聞いてしまいま した。また、購入したCD-ROMを開いて再び感動に浸っております。 私の方はまだ、画像 データベースとしての立ち上げが出来ていないので、参考になることばかりでしたが、他の 方が述べていたように分類学者がこれらの仕事をどのように評価するかの議論には大変興味 がありました。画像データベースの教育効果はいうまでもありませんが、画像データは従来 の標本資料の利用形態に大きな変革をもたらすであろうということを私は期待しておりま す。といいますのは、貴重な標本資料は整理が追いつかない、予算がない、人がいないなど の理由で、何十年も死蔵されてきたのが現状です。タイプ標本はそのいい例ですが、大変な 仕事ですが、それらを整理して画像によって公表することは、今後、さらに未研究データの 利用につながるからです。一次データの公開は物理、気象学分野では当たり前になっている 今日、とくに生物などの有形の標本のデータ公表は、先に論文を書くことが先決で、共同研 究に供するという姿勢は二の次であったような気がします。少なくても公共施設で標本管理 を担っている分類学者はこれらを真っ先に実施してしかるべきと思っております。  これがないために、いわゆる「博物館いき」の様な言葉に象徴されるように、死蔵物が蓄 積され、現状を生み出してきたのだと思います。極地研の様な比較的新しい機関では、南極 地などで収集してきた隕石資料をいち早く、カラー写真カタログで公表してきましたし、私 の極地蘚苔類の標本データも古くから一次処理の標本カタログを出版してきました。画像の データ公開は大変な仕事ですが、標本庫に眠っていた標本を一気に蘇らせる起爆剤になる (今井先生の言葉)という事に関しては大いに期待していいと思います。これからはどんな 形、色をしているものが、どのくらい、何処から収集されているのかにすぐ対応できない博 物館では、その後の発展はない時代が来るでしょう。画像データベース構築の仕事は研究済 みの資料ばかりではなく、未研究資料の公開、共同研究につながり、標本研究の新しいニー ズが生み出されると思っております。もちろん教育的な効果は絶大で、自然史科学の啓発に 多大な貢献となることは言うまでもありません。  私も植物分類学者の端くれとして、反省も込めて、画像データベースの構築に努力してい きたいと願っておりますので、今後ともよろしくお願い致します。(参加者より)


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